叶うまでの仮住まいを整える|今の現実を敵にしない願望実現

理想の未来を強く願えば願うほど、なぜか、今の現実がどんどん嫌いになっていく。そんな感覚に、心当たりはないでしょうか。
「本当の自分は、もっと違う場所にいるはずだ」と思うほど、今いる場所が、なんだか間違った場所のように感じられてくる。今の仕事、今の部屋、今の人間関係。理想と比べれば比べるほど、今のすべてが、足りないもの、間違っているものに見えてくる。
これは、願望実現に熱心な人ほど、陥りやすい状態です。未来を強くイメージすることが、いつのまにか、今の現実を否定することと、セットになってしまっている。でも、今の現実を敵にしてしまうと、願いを叶える力そのものが、弱ってしまうことがあります。
理想の未来だけを見ると、今がつらくなることがある
理想の未来を描くことは、とても大切な実践です。けれど、未来だけをずっと見つめ続けていると、今の現実との差が、際立って見えてきてしまいます。
理想の暮らしを思い描いた直後に、今の部屋を見渡すと、急にそのギャップがつらく感じられる。理想の自分を想像した直後に、今の自分を振り返ると、足りない部分ばかりが目についてしまう。
これは、未来を描くこと自体が間違っているわけではありません。ただ、未来と今を比べる視点だけになってしまうと、今という時間が、「まだ叶っていない、不十分な場所」というレッテルを貼られたまま、ずっと過ごすことになってしまうのです。
そして、不十分だと感じている場所で過ごす毎日は、当然、心地よいものにはなりません。理想を強く願っているはずなのに、日々の暮らしがどんどん苦しくなっていく。これは、多くの人が経験する、願望実現の落とし穴の一つです。
今の現実は、敵ではなく通過地点
ここで、視点を少し変えてみましょう。今の現実は、間違った場所でも、失敗した結果でもありません。今の現実は、これから理想に近づいていくための、通過地点です。
旅をしているときのことを思い出してみてください。目的地に向かう途中、立ち寄る宿や、通り過ぎる道は、目的地ではないからといって、否定すべき場所ではありません。それぞれの場所には、それぞれの役割があり、そこを経由するからこそ、目的地に着くことができます。
今の暮らしも、同じです。今が、理想の未来そのものではないとしても、それは失敗ではなく、目的地に向かう道の途中にある、一つの場所です。その場所を「間違っている」と否定し続けながら歩くのと、「ここも、大切な通過地点だ」と受け入れながら歩くのとでは、歩き方そのものが、まったく違ってきます。
仮住まいの暮らしを少しだけ心地よくする
今の暮らしを、「いつか抜け出すべき仮の場所」として扱うのではなく、「今、確かにここで過ごしている、大切な仮住まい」として扱ってみる。これだけで、日々の感覚は、少しずつ変わっていきます。
仮住まいだからといって、適当に過ごす必要はありません。むしろ、仮住まいだからこそ、できる範囲で、できるだけ心地よく整えてあげる。
たとえば、今の部屋が理想の住まいではなくても、その中で、今日座る場所だけは、少し心地よくしてみる。今の仕事が理想の仕事ではなくても、その中で、今日できる小さな工夫を、一つだけ加えてみる。
完璧な未来が来るまで、今をすべて我慢して過ごす必要はありません。今、ここで過ごす時間にも、ささやかな心地よさを、少しずつ取り入れていく。それが、未来への道のりを、ずっと歩きやすいものにしてくれます。
「まだ叶っていない場所」にも安心を作る
今の現実を、「まだ叶っていない、不十分な場所」として見ているうちは、その場所にいる自分のことも、どこか落ち着かない気持ちで見てしまいます。
ここで、こんな問いを自分に向けてみてください。「今、ここにいる自分にも、少し安心してもらえることはあるだろうか」。
理想の未来に到達していなくても、今ここにいる自分が、それなりに頑張ってきたこと、それなりに大切にしてきたものは、確かにあるはずです。完璧な状態でなくてもいい。今の場所にいる自分に対しても、「ここまで、ちゃんとやってきたね」と、少しだけ、声をかけてあげる。
未来に向かう力は、今の自分を否定するところからではなく、今の自分を認めながら、その先へ進むところから、自然に育っていきます。
今日の現実を味方にするノート術
最後に、今日からできる、小さなノート術をご紹介します。
夜、眠る前に、こう書いてみてください。
一つ目、「今日の暮らしの中で、ささやかに良かったことを一つ」。大きな出来事でなくてかまいません。「お茶が美味しかった」程度のことで十分です。
二つ目、「今日の自分が、ちゃんとやってきたこと、頑張ったことを一つ」。これも、特別な成果でなくて大丈夫です。
三つ目、「今のこの場所が、これからの自分にどんな形で繋がっていくか、想像できることがあれば一つ」。すぐに答えが出なくても、問いを心に置いておくだけで十分です。
このワークを続けていくと、今という時間が、少しずつ「敵」から「味方」に変わっていきます。理想の未来は、今を否定しながら目指すものではなく、今を大切にしながら、その延長として近づいていくものです。





